日本における環境への取り組み
ハブラシから始まる環境への取り組み。日本独自の課題にも社員一丸で取り組み、パッケージ分野でポジティブに実現。
100%プラスチック不使用パッケージを採用した「シュミテクト ハブラシ」プロジェクトに携わった担当者のインタビューをご覧ください(2022年3月取材内容)。
右 ノースアジア テクニカルパッケージ/AW/サステイナビリティ リード
左 シュミテクト ブランドリード
テクニカルパッケージ リード : ハブラシのパッケージは、プラスチックの包装に台紙を接着した「ブリスターパック」が一般的ですが、すべて紙で作れば、より環境への負担軽減に貢献できるのではないかと、Global全体の取り組みの中で開発がスタートしました。その背景には、生活者の健康に特化する企業である私たちHaleonでは、「地球の環境が健全であることが、私たち人間が健康でいられることと結びついている」という考えを強く抱いているからだと考えています。
とはいえ、思いはあっても実際の開発はチャレンジングでした。どのように設計すれば理想を達成できるのか。製造設備はどうするか。紙を使って中の歯ブラシを見せるにはどうするか。歯ブラシを保護できるのか――。そうしたことに国を超えてチャレンジしてきました。
ブランドリード:関係者はみんなポジティブでしたね。「プラスチックに戻した方がいい」という話は一度も聞きませんでした。パッケージの窓には透明なセルロースフィルムを使用し、プラスチックを使わなかったところにもこだわりを感じます。
ブランドリード:店頭に私たちの製品をお届けし、棚に並ぶまでに透明な窓にしわが寄ってはいけませんし、パッケージを見たときに中の歯ブラシが見えて、毛の硬さなどの情報も伝えるには、プラスチックを使用した時と設計が全く異なるので苦労したと聞いています。
テクニカルパッケージ リード:グローバルのメンバーと話していると、できることはすべてやっていく、という個人個人の環境への思いがイノベーションにつながったのだと感じます。シュミテクトのパッケージでも、窓の部分にはプラスチックを採用することも考えたのですが、プラスチックをまったく使用していないものをやはり追求しました。さらに、日本独自のチャレンジもあるのです。
ブランドリード:「並んでいる歯ブラシから自分が好きな色を選びたい」という消費者のニーズに応えて、陳列棚の奥からでも取りやすいパッケージ形状にすることです。グローバルのメンバーの協力を得るとともに、日本でもマーケティング、セールスなど様々な部署から意見を聞いて、これなら大丈夫という形にたどり着きました。
テクニカルパッケージ リード:グローバルバージョンは、パッケージ上部の丸い穴を陳列棚のフックに通してぶら下げるイメージです。紙の厚さもそれを前提に設計されています。日本仕様では、丸い穴ではなく、一部分が開いていて、フックで引っ掛けられるようにしました。それなら、好きな色が奥の方にあっても、横に引き出して取ることができます。
テクニカルパッケージ リード:なぜ必要なのか、という問いかけはありましたが、日本の消費者のニーズを説明し、納得が得られました。ただ、開発を進めることになっても、フックに掛ける部分の紙がすぐ破れるのではないかなど心配はありました。横に引き出せる形のパッケージにはどの程度の強度が必要で、それをどんな方法で検証すればよいのか。コロナ禍で現地の製造過程を見に行けない中で、また初めて一緒に仕事をするメンバーもいる中、設計や試作の要望、耐久試験の方法の立案・実施といったやり取りを繰り返しました。
ブランドリード:品質に対する日本の消費者の高い期待に応えつつ、より良い日々の健康を、製品を通じてお届けすることが当社のパーパスです。お客様の期待に沿うかたちで100%プラスチックフリーのパッケージができたことは、私たちにとっても励みになりました。シュミテクトは多くの方々にご愛用いただいているブランドですが、そのパッケージに関する取り組みで何かが変わればという思いです。
テクニカルパッケージ リード:この取り組みでは、店舗までの配送に使う梱包の内箱のトレイも、従来のプラスチックから紙材料に変更しています。その分も含め、年間で約70トンのプラスチック使用削減につながる見込みです(2023年9月現在)。
ブランドリード:サステナビリティに興味はあるけれど、何から始めたらよいかわからないという方もいらっしゃると思います。ドラッグストアやスーパーマーケットで購入できる歯ブラシが、そのきっかけになればいいと思っています。
テクニカルパッケージ リード:私たちの世代がサステナビリティの目標を達成することで、将来の環境に貢献できることがモチベーションにつながっています。今回のプロジェクトでも、私たちは「進めるためにはどうするか」を考えていました。環境への思いが会社を超え、業界を越えて広がるようにしたいですね。